Go To トラベルの取り扱いが二転三転しており、大混乱を来たしておりますので、記事にします。
東京外しの意味は?
東京での新型コロナウイルス感染者数が過去最高を続ける中、Go To トラベルの開始についてネットやワイドショーのコメンテータを中心に批判が巻き起こっていました。
そうした声を受け、政府が方針を変えました。何と、首都東京を対象外とするという苦肉の策を繰り出しました。正確には、東京都在住者、及び東京を発着するツアーや宿泊はNG、東京通過はOK、というような形です。
まず、なぜ政府がGo Toトラベルを推し進めているか。これは紛れもなく、インバウンド需要が蒸発して苦境に喘ぐ観光業界を救済する為です。飲食業ももちろん苦しいですが、少しずつ経済が回復していることやデリバリー等で日銭確保は観光業界に比べればできていると思われます。一方、観光業界は日本人特有の「こんな時期に旅行に行くのってどうなの?」という同調圧力による旅行マインド低下により、かなり厳しい状況です。
私は銀行員をしているので、普通の人よりは企業の決算書を見る機会は多いです。どれだけ優良な中小企業でも、現預金は平均月商の3ヶ月程度が普通です。2月下旬からのコロナ禍より既に5ヶ月が経過しています。多くの観光業は既に現預金は底をつき、銀行の融資等で延命しておりますが、売上が入らないことには回復の余地はありません。それぐらいギリギリの状況だということです。中小企業だけでなく、大企業も同様です。むしろ平時において、大企業は不要な現預金を持つことは株主の批判を受ける為、極力抑える傾向にありましたが、それがこうした不況で裏目に出ることになりました。
観光業界を救済するのであれば1.7兆円を観光業界に給付すればいいという意見をよく見ますが、これは全く的外れな意見です。今回、1.7兆を使ってざっくり旅費の半額を補助するのです。つまり、旅行代理店や宿泊業者にはその倍の3.4兆円が入る計算になります。これが税金を使ったレバレッジです。同じ額の税金を使って、経済効果を倍にすることができるのです。同額を観光業界に給付せよというのは税金の無駄遣い以外の何物でもありません。
にも拘わらず政府が方針転換し、東京を対象から外したのはアホな国民の声が大きくなってしまったからでしょう。東京を外すことがコロナ感染を止める効果があるのかは極めて疑わしいです。専門家会議で副座長を務められた尾身先生も旅行そのもので感染が広がるわけでないとおっしゃっています。そう、三密を避けて、マスクをつけて手洗いうがいを励行する。新しい行動様式を実践できていれば、感染リスクを下げることは可能です。よっぽど普段の通勤電車の方が危険だと思います。
私も東京都民で、今回対象外とされたことは残念ですが、まぁ税金とはお金がある人からない人に流れる為のものなので、納得するしかありません。東京がGo Toトラベルの対象として復活する可能性は低いと思いますが、政府による行動制限が無い限りは自粛警察に流されることなく、自分で判断して動きたいと思います。
最後に
時期をずらすべきだという意見が多いですが、それを言うとずっと旅行なんて行けないんじゃないですかね。感染者数が増えたとは言え、日本人の99.99%はまだ感染していない病気ですよ?冷静に考えてこれからもっと増えますよね?終息とか言っている人は目を覚ました方がいいです。